match ステートメントを使用した DataWeave のパターン一致

DataWeave 2.2 は Mule 4.2 と互換性があり、Mule 4.2 にバンドルされています。 このバージョンの Mule は、拡張サポートが終了する 2023 年 5 月 2 日にその すべてのサポート​が終了しました。

このバージョンの Mule を使用する CloudHub には新しいアプリケーションをデプロイできなくなります。許可されるのはアプリケーションへのインプレース更新のみになります。

標準サポートが適用されている最新バージョンの Mule 4 にアップグレード​することをお勧めします。これにより、最新の修正とセキュリティ機能強化を備えたアプリケーションが実行されます。

match​ ステートメントは、他の言語 (Java や C++ など) の ​match​ または ​switch​ ステートメントのように動作し、何らかの条件に基づいて入力式を特定の出力式にルーティングします。 開始する前に、DataWeave バージョン 2 は Mule 4 アプリケーションを対象とすることに注意してください。Mule 3 アプリケーションの場合、Mule 3.9 ドキュメントの ​DataWeave 1.0 ドキュメントセット​を参照してください。他の Mule バージョンの場合は、Mule Runtime の目次のバージョンセレクターを使用できます。

match ステートメントの構文:
inputExpression match {
  case <condition> -> <routing expression>
  case <condition> -> <routing expression>
  else -> <default routing expression>
}

他の言語と同様に、DataWeave の ​match​ ステートメントには、複数の連鎖した ​if-else​ ステートメントを整理するためのコンパクトな方法が用意されています。​match​ 式は、必要に応じて ​else​ ステートメントで終了する ​case​ ステートメントのリストで構成されます。 各 ​case​ ステートメントは、​true​ または ​false​ に評価されるセレクター条件式で構成されます。この条件式は ​if​ ステートメントで表される条件に対応します。その後に対応する DataWeave ルーティング式が続きます。この式には ​match​ ステートメントの入力式を含めることができます。

各 ​case​ ステートメントは ​if​ ステートメントにすることができます。また、​case​ ステートメントで他のパターン一致のショートカットを使用して、​case​ ステートメントの条件を定義することもできます。​case​ ステートメントが ​false​ の場合、ルーティング式は無視されます。

DataWeave では、​case​ ステートメントの条件として 4 つの種別のパターンがサポートされます。

各 case に名前を付けても名前を付けなくても構いません。case に名前を付けると、その名前で入力式がローカル変数として保存され、その case ステートメントの条件式と、対応するルーティング式の両方で使用できるようになります。

match ステートメントの構造
value match {
  case (<name>:) <condition> -> <routing expression>
  case (<name>:) <condition> -> <routing expression>
  else -> <when none of them matched>
}

この例のように、式は最初に一致した ​case​ ステートメントの結果を返します。

match ステートメントの例
%dw 2.0
output application/json
---
"hello world" match {
	case word matches /(hello)\s\w+/ ->  word[1] as String ++ " was matched"
	case literalMatch: "hello world" -> upper(literalMatch)
	case hasOne if( hasOne is Object and hasOne.three? ) -> hasOne.three
	else -> $
}
出力
"hello was matched"

入力式 ("hello world") は、各 ​case​ ステートメントのローカル変数名 (​word​ または ​literalMatch​) で参照できます。​else​ ステートメントの場合、デフォルトのパラメーター名 ​$​ (名前のないパラメーター) を使用して入力式を参照できます。

else​ ステートメントの入力式に名前を付けるには、​else​ ステートメントを常に ​true​ になる ​case​ ステートメントに置き換えます。

match ステートメントの例
%dw 2.0
output application/json
---
"hello world" match {
	case word matches  /(hello)\s\w+/ ->  word[1] ++ " was matched"
	case literalMatch: "hello world" -> upper(literalMatch)
	case last if(true) -> last
}

入力が String (文字列) 型のユースケースの場合、​dw::Core​ モジュールの ​match​ ​関数​を使用して、正規表現パターンに対して文字列をテストすることもできます。この関数は、正規表現全体とキャプチャグループに一致する文字列を含む配列を返します。

文字列が正規表現パターンに一致するかどうかに基づいてブール値の結果が必要なユースケースの場合、パターン一致やモジュールの ​match​ 関数を使用する代わりに、​dw::Core​ モジュールの ​matches​ ​関数​を使用できます。

リテラル値とのパターン一致

評価された値が単純なリテラル値に等しい場合に一致します。

次の例では、1 番目の項目で ​myInput.string​ の値と照合し、ブール値を返します。2 番目の項目では同じ照合が実行されますが、ブール値と、検証された値への参照の両方を含むオブジェクトを返します。

DataWeave スクリプト
%dw 2.0
var myInput = {
  "string": "Emiliano"
}
output application/json
---
{
  a: myInput.string match {
    case "Emiliano" -> true
    case "Mariano" -> false
  },
  b: myInput.string match {
    case str: "Emiliano" -> { "matches": true, value: str }
    case str: "Mariano" -> { "matches": false, value: str }
  }
}
出力
{
  "a": true,
  "b": {
    "matches": true,
    "value": "Emiliano"
  }
}

式に対するパターン一致

提供された式が ​true​ を返す場合に一致します。

次の例では、1 番目の項目で ​myInput.string​ の値の 2 つの選択肢と照合し、条件に応じて別の文字列を追加します。2 番目の項目では、3 と比較して ​myInput.number​ の値が「より大」 (​>​)、「より小」 (​<​)、または「等しい」 (​==​) かどうかを評価し、対応する文字列を返します。

DataWeave スクリプト
%dw 2.0
var myInput = {
  "string": "Emiliano",
  "number": 3.14
}
output application/json
---
{
  a: myInput.string match {
    case str if str == "Mariano" -> str ++ " de Achaval"
    case str if str == "Emiliano" -> str ++ " Lesende"
  },
  b: myInput.number match {
    case num if num == 3 -> "equal"
    case num if num > 3 -> "greater than"
    case num if num < 3 -> "less than"
  }
}
出力
{
  "a": "Emiliano Lesende",
  "b": "greater than"
}

データ型に対するパターン一致

評価された値が、指定されたデータ型の場合に一致します。

次の例では、1 番目の項目で ​myInput.a​ のデータ型を評価し、対応する型名の文字列を返します。2 番目の項目でも同様ですが、​myInput.b​ の値も返します。

DataWeave スクリプト
%dw 2.0
var myInput =
{
  "a": "Emiliano",
  "b": 3.14
}
output application/json
---
{
  a: myInput.a match {
    case is Object -> 'OBJECT'
    case is String -> 'STRING'
    case is Number -> 'NUMBER'
    case is Boolean -> 'BOOLEAN'
    case is Array -> 'ARRAY'
    case is Null -> 'NULL'
    else -> 'ANOTHER TYPE'
  },
  b: myInput.b match {
    case y is Object -> { 'Type': { 'OBJECT' : y} }
    case y is String -> { 'Type': { 'STRING' : y} }
    case y is Number -> { 'Type': { 'NUMBER' : y} }
    case y is Boolean -> { 'Type': { 'BOOLEAN' : y} }
    case y is Array -> { 'Type': { 'ARRAY' : y} }
    case y is Null -> { 'Type': { 'NULL' : y} }
    else -> { 'Type': { 'ANOTHER TYPE' : myInput.b} }
  }
}
出力
{
  "a": "STRING",
  "b": {
    "Type": {
      "NUMBER": 3.14
    }
  }
}

正規表現に対するパターン一致

評価された値が、提供された正規表現 (具体的には Java でサポートされる正規表現の「フレーバー」) に適合する場合に一致します。次の例では、入力変数 (​myInput​) に文字列の配列が含まれます。スクリプトは ​map​ 関数を使用して配列を反復処理します。Java 正規表現に対して各要素を評価し、入力との一致に基づいてオブジェクトを出力します。

DataWeave スクリプト
%dw 2.0
var myInput = {
  "phones": [
    "+1 (415) 229-2009",
    "(647) 456-7008"
  ]
}
output application/json
---
{
  a: myInput.phones map ($ match {
     case phone matches /\+(\d+)\s\((\d+)\)\s(\d+\-\d+)/ -> { country: phone[1]}
     case phone matches /\((\d+)\)\s(\d+\-\d+)/ -> { area: phone[1], number: phone[2] }
   }),
 b: myInput.phones map ($ match {
   case phone matches /\+(\d+)\s\((\d+)\)\s(\d+\-\d+)/ -> { country: phone[1], area: phone[2], number: phone[3] }
   case phone matches /\((\d+)\)\s(\d+\-\d+)/ -> { area: phone[1], number: phone[2] }
 })
}
出力
{
  "a": [
    {
      "country": "1"
    },
    {
      "area": "647",
      "number": "456-7008"
    }
  ],
  "b": [
    {
      "country": "1",
      "area": "415",
      "number": "229-2009"
    },
    {
      "area": "647",
      "number": "456-7008"
    }
  ]
}