Flow および Subflow スコープ

Flow スコープと Subflow スコープは、他の一連のコアコンポーネントと操作 (コネクタとモジュールによって提供される) をグループ化するコンポーネントで、インテグレーションプロセスの自動化に役立ちます。Flow コンポーネントは、Mule アプリケーションの基盤です。すべての Mule アプリケーションには少なくとも 1 つのフローを含める必要があるため、Anypoint Studio ではアプリケーション内に最初の Flow コンポーネントが自動的に提供されます。

Mule アプリケーションには、追加のフローとサブフローを含めることができます。次に例を示します。

フローとサブフローの例
Figure 1. 例: フローとサブフロー

フローとサブフローの仕様、機能、制限についての詳細は、​「フローおよびサブフロー」​を参照してください。

フローは常に同期的に機能します。ファイヤアンドフォゲットなどの非同期パターンを実現する必要がある場合は、​Async スコープ​ (​<async/>​) を使用できます。

フローの設定

フローは設定可能です。たとえば、Mule アプリケーションの起動時に開始するか停止したままにするかを設定したり、同時に実行できる数を制限したり、ビジネスイベントをセットアップしたりできます。また、コンポーネントのエラー処理をセットアップすることもできます (​エラー処理​参照)。

項目 説明

Name (名前) (​name​)

フローの名前。フローには、プロジェクト名と同じ (または部分的に同じ) 編集可能な名前が自動的につけられます。

Initial State (初期状態) (​initialState​)

値: Started (開始済み)、Stopped (停止済み)。これらは、フローの Mule Runtime 設定です。デフォルトの Started (開始済み) (​initialState="started"​、Studio では [Empty (空)] とも呼ばれる) は、アプリケーションの起動時にフローがアクティブであることを示します。そのため、フロー内の内部または外部 Mule イベントソース (HTTP リスナーや Scheduler など)、別のフローやサブフローからのフロー参照、または ​lookup​ 関数のコールによってトリガーできます。

初期状態を Stopped (停止済み) (​initialState="stopped"​) に設定した場合は、フローをアクティブ化するには ​Runtime Manager​ を使用する必要があります。または、単にフロー設定を ​Started​ にリセットすることもできます。この状態のコンソール出力は次のようになります: Flow flow_component_ex has not been started (initial state = 'stopped')

Max Concurrency (最大同時実行) (​maxConcurrency​)

省略可能。フローが処理できる同時メッセージの最大数を設定します。設定しない場合、フローがメッセージの処理時にパフォーマンスを最適化するために使用できる最大スレッド数は、コンテナスレッドプールによって異なります。フローが最大数の同時メッセージを処理している間は追加要求を受信できません。

フローが要求を 1 つずつ処理するようにするには、​maxConcurrency​ を ​1​ に設定します。

最大同時実行値に達した後の Mule の動作についての詳細は、「​バックプレッシャー​」を参照してください。

ビジネスイベント

省略可能。デフォルトは ​false​ です。Mule アプリケーションを CloudHub にデプロイする場合は、ビジネスイベントを有効にし (XML の例: tracking:enable-default-event="true"​)、トランザクション ID を追加できます (XML の例: <tracking:transaction id=12345​/>)。​「ビジネスイベント」​を参照してください。

メタデータ

他の多くのコンポーネントと同様に、このコンポーネントのメタデータを設定できます。このトピックについての詳細は、​「Metadata Editor (メタデータエディター)」​を参照してください。

サブフローの設定

Subflow スコープでは、サブフローの名前を編集し、メタデータを追加できます。フローとは異なり、サブフローにはエラー処理をセットアップするメカニズムは組み込まれていません。ただし、エラー処理を実行する必要がある場合は、サブフロー内の ​Try スコープ​によって提供されるエラー処理を使用できます。

項目 説明

Name (名前) (​name​)

サブフローの名前。サブフローには、プロジェクト名と同じ (または部分的に同じ) 編集可能な名前が自動的につけられます。

メタデータ

他の多くのコンポーネントと同様に、このコンポーネントのメタデータをセットアップできます。このトピックについての詳細は、​「Metadata Editor (メタデータエディター)」​を参照してください。

フローとサブフローの XML

次の例は、シンプルなフロー (​<flow/>​) の XML です。このフローは、10 秒ごとにフローの実行をトリガーするスケジューラーを取得元として使用し、Flow Ref (​<flow-ref/>​) コンポーネントを介してサブフロー (​<sub-flow/>​) に接続します。そのサブフローも、Flow Ref コンポーネントを使用して別のサブフローに接続します。Studio の UI を使用してコンポーネントを設定すると、Mule アプリケーションの設定 XML に自動的に XML が追加されます。

例: フローとサブフローの XML
<flow name="flow_component_ex">
  <scheduler doc:name="Scheduler" >
    <scheduling-strategy >
      <fixed-frequency frequency="10" timeUnit="SECONDS"/>
    </scheduling-strategy>
  </scheduler>
  <ee:transform doc:name="Transform Message">
    <ee:message >
      <ee:set-payload ><![CDATA[
 %dw 2.0
 var myXml =  read('<prices>
    <basic>9.99</basic>
    <premium>53</premium>
    <vip>398.99</vip>
  </prices>', 'application/xml')
 output application/xml
 ---
 myXml
]]></ee:set-payload>
    </ee:message>
  </ee:transform>
  <flow-ref name="subflow_ex1"/>
</flow>
<sub-flow name="subflow_ex1">
  <ee:transform doc:name="Transform Message">
    <ee:message>
      <ee:set-payload><![CDATA[%dw 2.0
import * from dw::util::Timer
output application/json
var conversionRate=13
---
priceList: payload.prices mapObject(value, key, index) -> {
  (key) : {
       dollars: value,
       localCurrency: value * conversionRate,
       index_plus_1: index + 1,
       timer : currentMilliseconds()
   }
}]]>
      </ee:set-payload>
   </ee:message>
 </ee:transform>
 <flow-ref name="subflow_ex2"/>
</sub-flow>
<sub-flow name="subflow_ex2">
  <logger level="INFO" doc:name="Logger" message="#[payload]" />
</sub-flow>

この例の出力は次のようになります。

出力
{
  "priceList": {
    "basic": {
      "dollars": "9.99",
      "localCurrency": 129.87,
      "index_plus_1": 1,
      "timer": 1533024312658
    },
    "premium": {
      "dollars": "53",
      "localCurrency": 689,
      "index_plus_1": 2,
      "timer": 1533024312659
    },
    "vip": {
      "dollars": "398.99",
      "localCurrency": 5186.87,
      "index_plus_1": 3,
      "timer": 1533024312659
    }
  }
}

エラー処理

Flow コンポーネントに​エラーハンドラー​を追加できます (サブフローには追加できません)。

Studio では、Flow コンポーネントの下部にある [Error handling (エラー処理)] 領域を展開し、エラーコンポーネントをフローにドラッグするだけです。このプロセスにより、Error Handler コンポーネントにコンポーネントが自動的に配置されるため、最初に Error Handler コンポーネントを追加する必要はありません。

この XML 例の末尾付近で、フローの On Error Continue (エラー時継続) 設定 (​<on-error-continue/>​) があります

例: On Error Continue (エラー時継続) 設定が含まれるフローの XML
<flow name="flow_subflowFlow" >
  <scheduler doc:name="Scheduler" >
    <scheduling-strategy >
      <fixed-frequency frequency="10" timeUnit="SECONDS"/>
    </scheduling-strategy>
  </scheduler>
  <ee:transform doc:name="Transform Message" >
    <ee:message >
      <ee:set-payload ><![CDATA[
 %dw 2.0
 var myXml =  read('<prices></prices>', 'application/xml')
 output application/xml
 ---
 myXml
]]></ee:set-payload>
    </ee:message>
  </ee:transform>
  <logger level="INFO" doc:name="Logger" message='#[payload.prices]'/>
  <error-handler >
    <on-error-continue enableNotifications="true" logException="true" doc:name="On Error Continue" type="EXPRESSION" when="#[isEmpty(payload.prices)]">
      <logger level="ERROR" doc:name="Logger" message='"An Error Occurred"'/>
    </on-error-continue>
  </error-handler>
</flow>

前の例では、エラーが発生します。次の点を確認してください。

  1. <set-payload/>​ の変数 ​var myXml​ は、ペイロードとして空の ​<prices></prices>​ タグを設定します。

  2. <set-payload/>​ コンポーネントの横にある Logger は、空のタグの値を記録するように設定されているため、​null​ を返します。

  3. DataWeave 条件 ​isEmpty(payload.prices)​ が ​true​ を返すため、​<on-error-continue/>​ コンポーネントはエラーを返します。

  4. <on-error-continue/>​ 内の Logger (​<logger/>​) では、エラーが発生したときにコンソールに出力するエラーメッセージを設定します。結果のエラーメッセージは次のようになります。

ERROR 2018-07-30 23:58:45,293 [[MuleRuntime].cpuLight.06:
 [flow_subflow].flow_subflowFlow.CPU_LITE @1b1529b2]
 [event: 0-2aba3280-948f-11e8-82d0-f45c898f2549]
 org.mule.runtime.core.internal.processor.LoggerMessageProcessor:
 "An Error Occurred"

これらのコンポーネントについての詳細は、​「On-Error エラーハンドラー」​を参照してください。